葉山の舞台
神奈川県葉山町に建つインテリア好きな家族のための住宅。もともと2棟の住宅が建っていた広い敷地は樹木に覆われた南側隣地の崖から続く緩やかな斜面により、高低差のある地形であった。採光を考え建物を南側の崖から離れた敷地の北側に配置し南側に庭をとり、庭の先の隣地樹木を借景として活用する配置計画とした。
建物を北側に配置すると1階の床レベルと庭との間に高低差が生じるため、1階の床レベルから1m床を上げた舞台の様なリビング・ダイニングとそれに続くテラスを設け、庭との高低差を解消し室内と庭が自然とつながる計画とした。
リビング・ダイニングは天井高のある大きな気積の空間とし、隣地の緑を目一杯取り込む高さ4.5mの大開口を設け光に満ちた居場所をつくり出す。
個室や水回りは必要最小限の大きさとし、大きな気積のリビング・ダイニングの両サイドに配置し、床を1m上げたリビング・ダイニングとはスキップフロアの関係となっている。
構造は木造だが、気積の大きい空間を支えるために大開口側には鉄骨柱を使用し、約8.2mの屋根の梁は2分割した木梁を鉄のプレートとボルトで繋ぎ、部分的に鉄で補強をしている。
大開口は大きな庇により軒の出を深くすることで夏の日差しを遮り、冬は窓から室内の奥まで日差しが届きコンクリートの床に蓄熱する。
リビング・ダイニングの壁は4面、仕上げ材を変え家具を見る方向により異なる印象となるインテリアとした。
キッチンが独立した間取りとすることで、自由に家具の配置を楽しむことのできる舞台(リビング・ダイニング)に、クライアントの所有している沢山の家具や置物、以前敷地に建っていた家から再利用した建具や照明器具が点在する。
これから家族の生活に合わせて舞台転換(模様替え)をしながら展開される生活を楽しみにしている。
計画地:神奈川県三浦郡葉山町
竣工:2021年11月
用途:専用住宅
規模:木造2階建て
敷地面積:640.20㎡
建築面積:83.10㎡
延床面積:99.74㎡
設計:稲山貴則建築設計事務所
施工:佐藤建匠
構造:建築構造研究所(BSI)
撮影:鳥村鋼一
掲載誌:CONFORT No.185、I’m home. no.122、モダンリビング No.268
YouTube:みっこのおじゃまします vol.14