瓦屋根の下でキッチンカーによる地元の食材を使った軽食を楽しむことのできる飲食スペース、運営上必要なバックヤードや化粧室を備えた建築と人々を迎える広場の計画。

敷地は栃木県日光市。日光東照宮と日光駅を結ぶ日光街道沿いに位置し、数多くの観光客が行き交う場所である。

 

全体計画は道路から見て手前に商品を提供するキッチンカーと広場、奥に観客席のような飲食スペースを配置し、街道沿いを歩く観光客が気軽に立ち寄れる計画とした。

建築は日光の名所である「いろは坂」より着想を得て蛇行させた雛壇状の地元産のスギ材のボリュームと宙に浮かんだような瓦屋根で構成。

構造は雛壇状の飲食スペースを開放的な空間とするために、柱を構造用合板で挟んだ壁柱とスチールブレースで耐力を確保し、屋根は筋交で剛性を取る。屋根に野地板のない構成とすることで飲食スペースから瓦の裏面も見える天井とした。

 

コロナ禍の2022年5月にオープンとなったが、半屋外の飲食スペースではお客さんが気兼ねなく過ごすことができ、観光客も気軽に立ち寄ることができる場所となった。

最初にお客さんを招く広場は日光にとっての新たな公園のよう場所となり食を中心に人が集まり観光客、地元住民、食、文化、歴史などの接点（contact）となる。

 

景観に配慮した瓦屋根の下、雛壇状の飲食スペースに座るお客さんも建築を彩る要素と考え計画したこの建築が近い将来、日光の風景の一部になることを望んでいる。