森の雁行
都内に住む施主が週末を過ごすための別荘。敷地は標高1000mを超える富士山麓の別荘地内に位置し、南側に大きな森が広がる約1500m²の土地である。
主に夫婦2人が3匹の犬と過ごすための別荘として計画され、まとまった庭を確保するために建築は敷地の北側に配置し残りのスペースは犬のための大きなドッグランとした。
建築は室内のどこにいても、庭と南側の森の風景を感じることができる様に東西方向に細長い形状とした。長い形状の建築を部屋単位のボリュームに分割しそれぞれを雁行して配置し、ボリュームのずれたところに庭の要素となるような軒下空間を用意する。
屋根のある軒下の空間ではさまざまな過ごし方が想定され、内部と外部をつなぐ場所となる。
そして庭と建築が細やかにつながることで、人と犬が過ごす時間が重なり合い敷地全体が人と犬の居場所となる。
内部外部とも素材は全て、木・石・タイルに限定し経年変化を楽しむことのできる建築とした。
都内とは異なるゆったりとした時間の流れるこの土地で、四季を感じながら長い時間をかけてこの地に定着し永住も想定した別荘の提案。
計画地:山梨県南都留郡鳴沢村
竣工:2021年4月
用途:週末住宅
規模:木造平家建て
敷地面積:1550.31㎡
建築面積:207.43㎡
延床面積:191.29㎡
設計:稲山貴則建築設計事務所
施工:富士観光開発株式会社
構造:ASD
撮影:鳥村鋼一