八ヶ岳の離れ
東京と山梨の2拠点で生活するクライアントのための小さな住居。
クライアントは普段、東京都心の一戸建てに住んでいるが3人の子供の子育てをする中で、東京だけの生活に少し不自由な部分を感じる様になり計画がスタートした。
都心に比べれば大きな敷地であるが、敷地周辺は別荘や定住者の住宅が点在するエリアである為、周辺環境と適切な関係を築くことが求められた。
具体的には周囲の木々や建物、全面道路や庭などに対して開き、そして閉じる「一筆書きの壁」によって、周辺環境との距離感や視線をコントロールした。
「一筆書きの壁」によってつくられた環境の中に、リビングやダイニング、露天風呂、デッキなど性格の異なる居場所を適切に配置することでこの敷地に新たな価値を与える。
この小さな住居は都心の家(母屋)に対する「離れ」の様な位置付けで母屋に足りないものを補いながら2拠点での生活をスムーズにつなぐ役割を担う。
この家ができて夏休みや年末年始は長期間「離れ」で過ごしたり、山梨の庭で採取した植物や生き物を東京の家で育てたりと、東京と山梨での生活がつながり「母屋」と「離れ」の関係が具体的になってきた。
小さな建築でも新しい場所を持つことで、生活の豊かさを手にすることができる。「離れ」が実現する新しいライフスタイルの提案。
計画地:山梨県北杜市
竣工:2017年10月
用途:週末住宅
規模:木造2階建て
敷地面積:331.02㎡
建築面積:43.34㎡
延床面積:64.37㎡
設計:稲山貴則 建築設計事務所
施工:M’s-A
構造:大原和之+高橋修一/BSI
撮影:鳥村鋼一
掲載誌:Archiworld 285(韓国)、居心地のいい家をつくる 注目の設計士&建築家100人の仕事、AERA STYLE MAGAZINE Vol.50
Web:ArchDaily、designboom
受賞:サンワカンパニーデザインアワード2018 施工事例コンテスト