山香煎餅本舗 銀座店
埼玉の草加せんべいを販売する、山香煎餅本舗 銀座店の計画。
銀座のすずらん通りに面した路面店で、元はギャラリーとして使用されていた約25㎡の小さな店舗の内装工事。
山香煎餅本舗は素材にこだわったお煎餅をつくっており、ほぼお米のみでつくられるお煎餅にならい、店舗空間も単一素材のみでつくることにした。
具体的には店舗空間を30mm×40mm×4000mmのヒノキ角材のみで構成した。
店舗のサイズが幅約3.3m、高さ約4mのため一般的に購入できる4mの角材1本をカットし組み立てるだけで壁や天井を構成することができる。
そのためローコストかつ短期で工事を行うことができた。
店内の壁・天井だけでなく棚・レジカウンター・ベンチ等の什器に至るまで全て同じ角材で製作している。
また、奥行きのある天井の中に照明や、エアコン、空気循環のためのファンを内蔵している。
大工用語でインニッサンと呼ばれ下地材などに使用する、建築では一般的な素材に様々な加工を施してつくる空間は、日本人にはとても馴染みのある食材であるお米を様々な手法で調理するお煎餅のつくり方に通ずるところがあり、空間コンセプトと商品コンセプトが一致しストーリーのある店舗をつくることができた。
壁の格子の間に棚を増設することが可能なため、今後の商品構成の変化にも対応出来るように計画している。
小さな店舗だが、小さな素材の集合でつくることでより発見的で密度のある空間をつくることを試みた。
計画地:東京都中央区銀座
竣工:2017年1月
用途:物販店舗
規模:SRC造6階建て(1階部分の内装)
延床面積:25.01㎡
設計:稲山貴則 建築設計事務所
施工:山崎工務店
撮影:鳥村鋼一
掲載:Wideonline(Argentina)
受賞:第21回木材活用コンクール、ウッドシティTOKYOモデル建築賞