SASAICHI KRAND CAFE

山梨県大月市笹子町で350年以上続く酒蔵「笹一酒造」のお酒や地域の名産品を扱うショップ酒遊館内のカフェスペースの内装計画。

笹一酒造はお酒の原料である水とお米を創業当時から大切にし、現在も敷地内の湧き水と近くの水田で収穫したお米からお酒をつくり続けている。

お酒づくりでは350年間以上変わらず水とお米を通し地域との関係を続けているが、建築の素材において関係は絶たれてしまっている。

そこで今回の計画では少しだけでも建築を通して地域との有機的な関係に関与できればと考えた。

 

具体的にはお酒の主原料である稲の藁を編んだ筵(むしろ)を天井の仕上げとし、既存の無機質な空間に有機的な天井をつくった。

筵(むしろ)は酒樽に巻いてある菰(こも)と同じ素材で、できており昔から酒蔵に身近な素材である。

カフェでは酒粕等お酒にちなんだ食材を使用した料理を提供する空間のため、稲の藁を見ることでお米や水田を連想し、食を通してこの場所での体験がより特別なものになることを目指した。

約100㎡の客席にはカウンター席とテーブル席があり、新たに木製引き戸による入り口を追加し酒蔵への新たな人の流れをつくる。

床は既存のPタイルを剥がしたコンクリートスラブ現しとし、テーブルや照明はオリジナルで製作し、できるだけ素材そのものが表現となる仕上げを選んだ。

 

筵(むしろ)の天井に覆われた客席は、地域の人も気軽に入ってくることができる大らかな空間とし素材だけでなく地域の人々とも親密な関係をつくることができる公民館のような場所になることを望んでいる。

exterior

cafe interior view

cafe interior view

cafe interior view

counter seats

see the shop from the cafe

cafe interior view

entrance

entrance porch

green arrangement

traditional sign

所在地:山梨県大月市笹子町吉久保26
竣工:2019年11月
用途:飲食店舗
規模:鉄骨造平屋建て(店舗一部の内装)
延床面積:105.09㎡
設計:稲山貴則 建築設計事務所
施工:丸正渡邊工務所
撮影:平山 亮
掲載誌:心地よい空間をつくる小さな設計・建築事務所、晴耕雨読 Vol.30